History

 

1925.5.19

アメリカ、ネブラスカ州オハマに生まれる。

1929

マーカス・ガーヴェイの教えを信じ、

「黒人種の独立」を訴える黒人牧師であった父、

アール・リトルを疎ましく思う

悪名高き「K.K.K.」に連なる

白人クリスチャン達により襲撃され、

家屋全焼。

その2年後、

暗殺される。

精神的、経済的に苦しくなった母、ルイズ・リトルの元に、

州政府は子供達を引き離し、彼らを養い親の元へ地連れていく。

ミシガン州の白人家庭の元に引き取られたマルコムは、

青年となり姉、エラの住むボストンへと移る。

髪を“コンク(今で言うストレートパーマ)”し、

ズートスーツに身をつつみ、

ダンスホールで白人女を物色する。

暫くそういった生活を続けた後、

1946.2.

押し込み強盗と

白人女と寝た罪により

10年の刑期で州立刑務所へと連行される。

 

そこで、『ネイション・オブ・イスラム教団』に出会う。

 

イライジャ・ムハマドに感化されたマルコムは、

書物を読み、学び、考え、そして行動を始める。

 

当時の黒人が知らされていなかった黒人の歴史を学び、

当時の黒人が考えていなかった未来を考え、

当時の黒人が行わなかった怒りを表す。

 

神学の教師と。

「パウロの肌の色は何色ですか?」

「彼は」黒人のはずです。何故なら、彼はヘブライ人です。

そして、最初のヘブライ人は黒人でした」

「キリストの肌の色は何色ですか?

彼も、ヘブライ人のはずです…」

 

1952.

マルコムは出所し、『ネイション・オブ・イスラム教団』へ帰依する。

その行動力と、演説の迫力、過激さにより、

指導者としての頭角を顕わにする。

 

このとき、彼は正式に

マルコム・X

と、名乗る。

 

「我が兄弟達よ!

白人キリスト教徒達は言います。

死は我ら黒人をも平等に天国へと導くと。

これこそ、我ら黒人を洗脳する手段なのです」

 

「しかし、彼ら青い目をした悪魔達は、

その天国というエサで我らの目を釘付けにし、

その裏で我らを搾取し、

彼らのキリスト教をねじ曲げ、

自分たちはこの世の天国を享受してきたのです!」

 

「白人のなしてきた総てのことをご覧なさい!

彼らがこのアメリカに、

そして地上になしてきたことを!

破壊と、混乱と、憎悪を振りまき、

その上に君臨してきた悪魔達の行いを!」

 

「聖書の中でさえ、この様な罪は出てきません!

怒れる神は、もっと軽い罪人でさえ、

火で焼き殺してしまわれたのです。

しかし、白人達の為した罪とは!

15.000.000もの黒人を連れてきて、

その最中で

靴で蹴り、棍棒で殴り、

女を犯し、

10.000.000もの黒人を殺して、

海へと棄ててきたのです。

彼らは、

私たちの祖父であり、祖母であり、

そして我らに連なる黒人達なのです!」

 

1958.1.14.

ベティと結婚。

 

1959.

『人種分離』を種とした教団の教えに対するテレビ報道をきっかけに、

『ネイション・オブ・イスラム教団』と、

マルコムXは、

世間の攻撃の矢面に立たされる事になる。

白人社会と、そして、

その他の黒人指導者達の。

 

マルコムXは、

『白人支配社会からの分離』

を説く。

白人社会と、黒人社会が、

自由で対等な二者として

アメリカ社会に存在するべき道を説く。

そして、

『白人社会による精神的な支配を享受している』

アンクル・トム、

融合主義の黒人指導者達を攻撃する。

 

そして、世間での風評が高まるごとに、

マルコムは多くの敵に囲まれることとなる。

 

1965.2.21.pm3:15

マルコムXは銃弾に倒れる。

オーデュボーン・ボールルームでの集会の最中に、

聴衆内に紛れていた暗殺者によって、

その生涯を閉ざす。

 

「マルコムXは教団を我が物にしようとしている」

との批判。

そして、師、イライジャ・ムハマドの行った不義をきっかけに、

マルコムは教団を追放、離別。

 

イスラムの生地メッカへ巡礼に赴き、

自ら『ムスリム・モスク・インコーポレイテッド』を設立。

 

暗殺を指示し、行ったのが何者か。

正確なことは分かっていない。

袂を分かったかつての教主によるものか、

白人に取り入ろうとする黒人か、

白人優位主義者か。

 

メッカへと赴き、

アフリカ諸国を旅して、

暗殺されるまでの間に、

マルコムの身にははそれまでの人生の総てを根底から変えるほどの、

濃密な変化が訪れていた。

 

「私は人間をいつも、ただひとりの人間としてみるのが正しいと考えています。

その場合、黒も白も茶も赤も無く、ただひとりの人間であると。

そして、

人類を一つの家族としてみれば、

人種融合だとか異人種結婚だとか、

そういった事は問題にすらならないのです」

「これまでに向けていた敵意は、

総体としての白人、

アメリカの白人社会の有りようです。

私たちの反発は社会から生まれ出た反発であり、

そういった反発を生み出す社会こそが責められるべきなのです」

 

マルコムX

エル=ハジ・マリク・エル=シャバーズ

1925.5.19−1965.2.21